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「学問ノススメ」のすすめ

唐突だけど、福沢諭吉を知らない人はいないだろう。
有難~いお札にもなってるしね。
では、彼の代表的な著作のひとつである「学問ノススメ」を、きちんと読んだことのある人はどれだけいるだろうか。

恥ずかしながら白状すると、私は、例の有名な文章「天は人の上に人を造らず云々」を、盛大に誤解していた。
いえ、言い訳させてもらうと、あの文章に出会ったのは、確か、小学校の(クソみたいな)道徳の授業でのことで、アホな教師が「日本の昔の偉い人がこう言ってるんですから、みなさんは、平等なのですよ~」的な、中身のない安っぽい説教をしただけだったように記憶している。
子供心にも「くっだらねー」と思った。
その時の記憶というか刷り込みで「学問ノススメ」に対する私の先入観というかイメージが固定されてしまい、魅力も好奇心も感じないまま、そしてきちんと読む機会もないまま、いつしか膨大な時間が過ぎてしまって今に至ったのだった。

私は、本を買うときはたいてい尼損wに世話になるのだが、ちょっと前に歴史の本を何冊か買ってから、やたらと「あなたへのおすすめ」欄に諭吉や稲造らの本が出てくるので、何となく物色していると、どうやら「学問ノススメ」というのは、私が勝手に決めつけていたのとはだいぶ内容が違うらしい…とわかって、何だか興味が湧いてきて、読みたくなったのだった。
それで、ポイントを使って中古本をゲット!

ちなみに、この本は、いろんな人が好き勝手に現代語訳を出しているみたいだけど、この手のものは訳した人の価値観が巧妙に練り込まれていて、思わぬ地雷になったりするので、ここは潔く、岩波文庫版の原文を入手した。
原文といっても、別にどうということはなく、普通に読める。
「○○べし」「○○なからんや」「○○べけんや」などの言い回しに、古き良き日本の凛とした佇まいが感じられて心地いい。

それで。
読み始めてすぐに気がつくのは、この本は、決して「人間の平等」なんかを説く薄っぺらい説教本などではなく(当然、その程度の本なら、現代まで読み継がれるわけがないのだが…)、言ってみれば「馬鹿を徹底的に論破する本」だったw
ということは、だよ?
この本の冒頭の、たった一行にも満たない短い文を、自分の都合の良いように勝手に切り取って、内容のない説教なんかした小学校教師は、だいぶ恥ずかしいことをしたことになるねw
盛大なブーメラン…だけど、情けないことに、そのことに気付いてすらいないのだろう。
そもそも、あの文章は諭吉自身の言葉ですらない。
あの時代の学校教師なんて、今思えば、ほぼもれなく左巻きの気違いばかりで「自由」「平等」という言葉にホイホイと飛びついて、深く考えもせず口にしてたんだろうな~。本当に馬鹿ばっかりだったよ。

ところで、この本が書かれたのは明治の初め。
いかにも古臭いと思ってしまいそうだが、全然そんなことない。
平成の時代に「女の子は勉強なんかするな、偉くなるな」「女が仕事なんかして家を空けて遊んでいるのはアバズレ」「親の言うことは何が何でも聞け」とか真顔で言ってた毒母実家の阿呆な面々に比べたら、明治一桁の時代に書かれた「学問ノススメ」の方が、よっっっぽど現代的だ(笑)
毒一族の奴らが、どんだけ「井の中の蛙」であったかがよくわかる。頭おかしいやろw

特に、次の一節には、痺れた。

*****(引用ここから)*****

…子を生みて子を養うは人類のみに非ず、禽獣皆然り。ただ人の父母の禽獣に異なるところは、子に衣食を与うるの外に、これを教育して人間交際の道を知らしむるの一事に在るのみ。然るに世間の父母たる者、よく子を生めども子を教うるの道を知らず、身は放蕩無頼を事として子弟に悪例を示し、家を汚して産を破って貧困に陥り、気力漸く衰えて家産既に尽くるに至れば放蕩変じて頑愚となり、乃ちその子に向かって孝行を責むるとは、果して何の心ぞや。何の鉄面皮あればこの破廉恥の甚だしきに至るや。…

*****(引用ここまで)*****

…ハ、ハ、ハレンチですってよw しかも甚だしいんですってよw
思わず吹いてしまったわよw
まさか「学問ノススメ」を読んで吹き出す日が来るとはw
おい、毒母w お前は鉄面皮の破廉恥だって、お前の大好きな諭吉が言ってるぞw

面白かったついでに、私流に意訳してみた。
「…子を生み育てることくらい動物でもやっている。人の子育てが動物のそれと違うのは、子供に服を着せ飯を食わすだけでなく、きちんと教育をしてどこに出しても恥ずかしくない人間にしなければならないことだ。だが巷には、子供を生むだけで教育することができず、好き勝手やりたい放題遊びまくって、教育上よろしくないことばかりして、家をダメにし貧乏になり、やる気を無くし、挙句の果てには「親孝行しろ」と言って子供に集る親がいるのだ。一体どういうつもりだよ?どんだけ面の皮厚いんだよこの超破廉恥野郎め!…」

私のブログも含めて、毒親問題に関して、こういうことを言っている人は、掃いて捨てるほどいる。
諭吉さんが凄いのは、こんな文章を、明治7年4月に書いていることだ。
当時と今とでは、もちろん時代背景や社会情勢や、その他もろもろ、現代の私たちからは想像もつかないほど違っていたとは思うけど、それにしても、キレッキレだ。
今も昔も、どうしようもない親というのは、一定数いたのだろうと思う。

まだ全部は読んでいないのだけど、実に痛快でキレのいい文言が並んでいて、しかも明治の、背筋がピシッとなるような日本語で書かれているので、読んでいても気持ちがいい。
今後の愛読書が、また1冊増えそうだ。


≪おまけ≫

勉強するということについて、太宰治の「正義と微笑」にあるこの一節も、とてもいい。

*****(引用ここから)*****

…勉強というものは、いいものだ。代数や幾何の勉強が、学校を卒業してしまえば、もう何の役にも立たないものだと思っている人もあるようだが、大間違いだ。植物でも、動物でも、物理でも化学でも、時間のゆるす限り勉強して置かなければならん。日常の生活に直接役に立たないような勉強こそ、将来、君たちの人格を完成させるのだ。何も自分の知識を誇る必要はない。勉強して、それから、けろりと忘れてしまってもいいんだ。覚えるということが大事なのではなくて、大事なのは、カルチベートされるということなんだ。カルチュアというのは、公式や単語をたくさん諳記している事でなくて、心を広く持つという事なんだ。つまり、愛するという事を知ることだ。学生時代に不勉強だった人は、社会に出てからも、かならずむごいエゴイストだ。学問なんて、覚えると同時に忘れてしまってもいいものなんだ。けれども、全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。これだ。これが貴いのだ。勉強しなければいかん。そうして、その学問を、生活に無理に直接に役立てようとあせってはいかん。ゆったりと、真にカルチベートされた人間になれ!…

*****(引用ここまで)*****

本当にそう思うよ。
別に私は太宰のファンでも何でもないけど、この一節はとても好きだ。
特に「学生時代に不勉強だった人は、社会に出てからも、かならずむごいエゴイストだ」…これだよ、これこれ!

ここでいう「エゴイスト」は「想像力のなさ」と言い換えてもいいと思う。
無知というのは、結局、想像力のなさや好奇心の喪失につながり、勝手な決め付けや思い込みを増長し、やがてそれらは自分以外の他者に対する不寛容や否定となり、さらには排他性、閉鎖性、攻撃性などに行きつくのだと思う。

それにしても、諭吉の時代にはやはり時代背景もあってか、実学を重んじることが盛んに言われていたのに対し、太宰の時代になると、いくぶん余裕が出てきている感じがするのも興味深い。

私自身は、勉強というのは、最高の道楽だと思っている。
お金をかけずにできる贅沢とでもいおうか。
最近、暇と好奇心に任せて、高校の数学や理科、社会などをおさらいしているのだけど、勉強って本当にいいものだと思う。

ただ、学生時代には、勉強すべきことが多過ぎたり試験に追われたりして、余裕がなくなり、つい手を抜いたりしてしまう。
その時には、ありがたみが、あまりわからないのだ。
でも、それでも、不思議なことに何かしら頭の中に残っているもので、高校の勉強をおさらいしていても、結構いろいろなことを思い出すし、それらと経験とをすり合わせて「こういうことだったのか!」と改めて気付く。そして、いろんなものを見る時の視点が少し増える。それがまた楽しい。

こんなふうに、勉強は、いくつになってもできるものだとは思うけど、もし仮に現役の高校生に何らかのアドバイスをするとしたら「全力で勉強しなさい」と言うだろうなあと思う。
それは、教育ママとかガリ勉くんとか試験の点数とかではなくて、むしろそういったものとは真逆で「試験なんか1度や2度くらい落ちてもいいから、自分なりに何か掴めるような、意味のある勉強をしなさい」と言うと思う。
ただし、毒弟みたいに、目的もなくダラダラと3浪もするようなら、さっさとやめさせるねw そもそも、あんなの勉強とは言わんし、普通に考えても、試験に落ちまくった上に何も身につかないのでは、大いなる無駄でしかないだろw 無理して勉強にしがみつけだなんて誰も言ってないのにねーw

試験勉強や受験勉強と、学問を混同してはいかんのだよ。
…うーん、やっぱり、試験というのは、単に知識を問うのではなく、完全記述式か論文形式で「おもろいこと言うて出題者を唸らせた奴が合格」がいいと思う。太宰の言葉を借りれば「真にカルチベート」されているかどうかを見る試験でないと意味がないと思う。

何だか、いっぱい雑談をしてしまったけれど、今日はあまり毒を吐かずに、ここで終わり。
たまにはこういう記事があってもいいだろうw

by dokumusume | 2019-08-22 01:07 | その他